真ん丸い穴から見上げた空は、思わず鼻唄を歌ってしまうほどの青空だった。
でも、きっと今日がどんな嵐の日だったとしても、あたしは、









               Happy Happy Happy......








記念だからといって、リーマスが入れてくれた(といっても魔法でだ)紅茶を一口口の中に入れた。
ふわりと甘い香りが広がるこの味はきっとレモンティーだろう。
でも、飲む前から紅茶の種類なんて知ってる。
だって学生時代のあたしたちの日課のようなものだったから。





「美味しいね」

「散々練習したからね、昔」

「久しぶりだね、なんか」

「もう、何年だろう」



リーマスも紅茶のカップを手にとって口まで運んだ。
あたしはその様子をばれないようにじっと盗み見る。
そんなことまであの頃のままだ。



「何年だっけ?」

ああ、あたしは何年君の傍にいた?
ああ、あと何年君の傍にいられる?







「10年は経つんじゃないかな?」

「長いわね」

「あの頃はさ、よく砂糖の量のことで喧嘩になったよね」

「そうだっけ?」





あたしはとぼけたフリをしたけれど、本当はみんな覚えていた。
何を忘れようとも、リーマスと過ごしたあの学生生活だけは忘れない自信がある。
痴呆症なんかにも負けないよ、きっとね。



は初め、甘いもの好きじゃなかったでしょ?」

「うん、紅茶飲めなかっし」

「大進歩だよね」

「てか無理やり飲まされたんだよ、リーマスに」

「違うよ、が飲んでみたいって言ったんだよ」




あの頃のあたしはリーマスに恋する乙女だった。
だから彼が好きなもの、嫌いなもの、いつもの癖とか何もかも全部知りたくて、飲みたくもない紅茶を無理やり飲んだのだ。



「不味かったっていうか、気持ち悪かったなー・・・」

「でも、美味しいって言ってたよね?」

「か弱き恋する乙女でしたから」

「あはは!すごい顔してたけどね」

「・・・え!(どんな顔よ・・・!?)」

「どんな顔って?」

「勝手に人の心を読むな!」



まるでいつかの談話室にいるかのような気がした。
確か、リーマスが淹れた甘すぎる紅茶をあたしは無理やり飲み干して、笑顔で「ありがとう」を言ったんだ。
今考えたら本当に馬鹿な話だけど、もし今とあの頃の状況が同じなら、きっとあたしはまた無理をしてリーマスの気を惹こうとしているだろう。
愛してしまっているからね、リーマスを。



「あの時飲んだのがレモンティーだったんだよね」

「記憶力いいよね、リーマスも」



あの日を思い出して、幸せのレモンティーで喉の渇きを癒した。
今ではこうやってお茶が出来るほど、甘いものも紅茶も平気だ。



「覚えてるさ、緊張していたからね」

「緊張?」

「だってあの日初めてと二人きりで話したんだよ」

「あー初々しい話だわ」

「すっかりおばさん発言だね、は」

「もうおばさんだからねー・・・のう、じいさんや?」

「・・・ぷっ!」

「ぎゃ!汚いよ、リーマス!」

「ごめ・・・!だって・・・!」



リーマスは飲んでいた紅茶(もう二杯目だ)を思い切り噴出した。
あたしは思わず身を引いて、自分の紅茶が被害を受けていないか確認する。
その間にリーマスは立ち上がってどこから持ってきたのか、タオルでせっせと机を拭いていた。





「ねえ、、もう一回さっきの顔してよ」

「嫌よ!」

「えー・・・面白かったのに」

「何が“えー”よ」

「えー」

「・・・(無視)」

「・・・(ショック)」



寂しそうな顔をしているリーマスに少しだけ同情したけど、ほっておいた。
窓の外に広がる青空を見上げながら、カップに入っていた紅茶を一気に飲み干す。
口の中はまだ、甘いレモンの香りがしていた。

やっぱりあたしは幸せだ。




















「昨日の紅茶美味しかったねー」

「そういえば、昨日なんで僕、紅茶いれたんだっけ?」

「え?なんでだっけ?」

「あ・・・!」

「何?」

「昨日、結婚記念日だよ・・・!僕たちの・・・!」

「・・・・あ」













幸せのレモンティー(01/12/2003)
期間限定フリー夢です。報告とかはいらないので、ご自由にお持ち帰りください(いらないよ)レイアウト変更などはご自由に変えてもらってもけっこうです。陸万打、本当にありがとうございました・・・!愛してます(え)

Blue/Choro

わーわー!(うるさい)素晴らしいですよね!もう毎度毎度ときめきの宝庫です。
Choroさんのりーマスは優しくて素敵です。し、しかもオチがまた幸せで・・!
フリー夢と見るやがっちりこっそり盗って来ました。ありがとうございました。