迷子になったひとりぼっちの兵隊は何処に?そう砂浜に流れて、 ねえ 迎 え に 来 て








足元の砂を蹴り上げる。粒がキラキラ光りながら舞う。
綺麗だとはあまり思わなかった。まあそこそこってとこだ。


広大なホグワーツの隅に見つけた小さな小さな砂場で、
あたしはひとり遊んでいた。



ちょっと馬鹿みたいなのかもなぁこれ、とちらりと思った。
馬鹿馬鹿しくて口元がほころぶ。ニヤリ。うわ怪しいな。




「あれ、?」



ひとりでニヤニヤしていたら後ろから突然声をかけられ、
あたしは口元を急いで引き締めて振り返った。


「や、やあリーマス」
「こんにちわ。ひとり?」
「うん。今日は良い天気だね」
「そうだね」



リーマス・ルーピンはその美麗な顔をこちらに向けた。
少し、いやかなり心臓が高鳴った(見られただけだけどさ)(乙女だし)


何してるのこんなとこで、とリーマスが聞いて、あたしは返答に詰まった。
不思議そうな視線が痛い。とにかく話を逸らそうとあたしはひとり決意した。



「そ、そちらこそ・・・」
「僕?僕は秘密」
「へ?」
「秘密だよ」



人に尋ねておきながら自分は秘密だよとさらりと言うあたり、
さすが例のリーマス・ルーピンだよと思った。


口に出すつもりはあまり無かったが、リーマスが思ったより
とっつきやすい人物だったのと、会話が途切れた微妙な沈黙が
あたしにあっけなくそうさせた。



「さすがだね・・・」
「何が?」
「こうさ、あたしには何してるのかとか聞いといて、
 自分はさらっと秘密な辺りが」
「ああ・・・え、嫌味?」
「ち、ちがっ・・・」
「ま、良いでしょ僕もこれ以上は聞かないから」
「違うよ!違いますよ!」



リーマスはあはは、と笑って言った。うんうん分かってる。
さすが例のリーマス・ルーピンだよと思った。






「・・・・・」
「・・・・・」








そこでまた会話が何となく途切れて、あたしはこういう沈黙が苦手だった。
相手がつまらない思いをしているのではないかとすごく気になった。


今にも立ち上がって、あたしなんか放って、行っちゃうんじゃないかなぁ



嫌だなぁと思った。






「・・・ね」
「何?」
「つまんなくない?」
「え、何で?」
「あたし話してなかったから」


リーマスは少し驚いた顔をしてあたしをまじまじと見た(照れる)(乙女だし)
それからとても唐突ににこりと笑った。



「ぜんぜん」
「あ、そう・・・」
「冷たいね反応が」
「えっ、う、嬉しいなぁと浸ってて!」



リーマスはあはは、と笑って言った。うんうん、そっか。
さすが例のリーマス・ルーピンだなぁと思った。







「リーマスって、良い人だね」
「そう?あんま言われない」
「えー」
「友達からはね」
「ふうん・・・そういうもんかな」
「そういうもんだよね」







またそこで会話が途切れてしまって、でもあたしは結構平気だった。

足元の砂をもう1度蹴った。綺麗だね、とリーマスが言って、
あたしは、そうだねぇ、と素直に返した。綺麗だなぁ。



リーマス・ルーピンを見ていると話しても平気な気になって、
あたしはさっき言わなかった事を言った。



「実はね」
「ん、何?」
「あたしはここに、砂遊びに来たの」
「砂遊び?」
「うん、いい年こいてね。だから言わなかったの」
「砂遊びかぁ・・・良いんじゃない?」


リーマスは首をかしげて微笑んだ。他意は無さそうに見えた。
あたしは少し驚いて、とても嬉しかった。


「そういうものかなぁ」
「そういうものさ」





リーマスは少し俯いた。綺麗な横顔でまつげが長くて薄い色だった。
あたしは少し、いやかなりときめいた(乙女ですから)(しつこい)





「じゃあ次は僕の番かな」
「へ?何が?」
「ここに来た理由」
「秘密じゃなかったの?」
「まあ、秘密だけどね」
「わ、教えてくれるんだ」
「・・・僕と君の秘密って事で」





リーマス・ルーピンはあたしを振り向いてにこりと笑った。



「僕は、君が居たからここに来てみたんだ」






正直、ときめかないと言ったら嘘になるだろうてか嘘だ(だって乙女だし)(ほんとしつこい)
バレンタインに女生徒がぎゃーぎゃー騒ぐのも分かる。あたしも今度から騒ごうか。





だってこんな砂しかない所にわざわざあたしが居たのを見たから来たなんて面と向かって。






足元の砂を蹴り上げる。蹴り上げた先には砂しかない。綺麗?



綺麗だったら、本当に綺麗だったらあたしはこんなに寂しくなかったんだろうか。
寂しいんだろうか。あたしは、寂しかったんだろうか。こんなところで迷子のように。






「・・どうも」
「何で?」
「別に」
「・・・」
「何かここにひとりで居てあたしは楽しかったのか分からなくなった」
「綺麗だよ」
「そうなのかな?分かんなく」
「綺麗だよ、うん」
「ぎゃー遮ったね!」
「あと楽しそうだったから見に来た」
「・・そうなのか」
「チョコ食べる?」
「(脈絡無ぇなー)うん」




そして彼は何でもないかのように(きっと実際なんでもないことなのだ彼にとっては)ポケットを探る。
きっとイメージ通りチョコレートが好きなのだろう。それは、あたしにとってとても重要な知識だ。
ルームメイトに急にどうしたの色気づいてと言われても何か無くさないものに書きとめようと思った。





頭に刻み付けるのも良い。きっと覚えていられるだろうとあたしは何故か確信しているのだった。








030717(秘密ってのにときめくのは私だけですか)(だろうね)
031110(加筆)(あまりに微妙だったものでつい!代わり映えもしてませんがー)