黒い花
...a black flower in every heart
「は・・・っ!」
「は?」
さっきまで安らかに眠っていたが(死んでたという意味ではない)
突然眼を開けてリーマスは少なからず驚いた。
驚いた拍子にインク壷を倒してしまい羊皮紙に黒い染みが広がった。
花の様な形だった。真っ黒の花なんて見たことが無い。
「ねえ、黒い花って無いよね」
「は?急に何言ってんのこの人」
「急に叫んで起きたくせに何言ってんのこの人」
うっ、とは声をつまらせた。で、でも今何時よ?と慌てた声で尋ねる。
壁に掛かっているホグワーツ用の時計では詳しい時刻が分からなかった。
腕時計を見る。7時38分。
「7時40分だよ(大体)」
「ええ嘘だ!」
「嘘じゃないよ。何を根拠にそんなことを」
「ええー・・・」
眉を寄せながらはこっちに近づいてきた。腕時計を覗き込む。
アナログ時計の針が指すのは相変わらず7時38分。
「うーん?これ止まってない?」
「は?何を根拠にそんなことを」
「ええーっと・・・」
はさっきまで寝ていた僕の向かい側のソファに腰を下ろした。
一瞬僕の隣の空いたスペースに目をとめたので隣に来るかと勧めたら
嬉しそうな顔をして断った。(えっ、良いの?でも、良いや)
「向かい側の方が話しやすいからね」
「そうだね」
「あたしもう真夜中だと思ってた」
「へえ」
「寝ちゃうと時間の感覚なくなるよね」
「そう?」
「いやリーマスは・・・こう、何だね、いつも寝てると言うか」
「は?起きてるよ?」
「いや寝ながら起きてると言うか」
「はー?もうワケ分かんないこの人。寝言?」
「くっ・・・!」
は悔しそうな顔をして僕を睨みつけた。上目遣いになって可愛かった。
そしてすぐに笑った。僕も笑った。
以前、の笑顔は花の様だと言ったらシリウスに笑われた。
ジェームズも笑った。はははリリーの笑顔なんて百合の様さ!と言った。
主席のくせにひねりがないなと思ったが口には出さなかった。どっちでも良かった。
そんなことはどっちでも良かった。たまに何もかもどちらでも良くなってしまう。
そんな時には真っ黒な花とかそういうのが見たいと思ってしまう。例えば、今のように。
「おーい、リーマスさーん」
「・・・え?」
「は、反応薄いなぁ・・・何考え込んでたのさ」
「ああ、すっごい意味ないことだから」
「そうかそうか。お前はいつも意味無いぞ」
「ああ、程じゃないけどね」
は何事かぶつぶつと呟いた。聞こえなかった。
の隣に移動したら少し驚いた顔をされて少し傷ついた。
そこからは僕の内容の無いレポート用紙に黒い花が咲いてるのが良く見えた。
「ああ、あれあれ」
「何が」
「分かれよ」
「分かんねえよ」
「だからさー、黒い花」
「は?そんな事言ってましたっけ」
「言ってたよ。黒い花ってないよねって」
「え?あるよ」
「・・・えー?」
「あるってば」
あっさりと僕の哲学的思考を切断しては平然と笑った。
その笑みは「へぇー?知らなかったんだー?」と言っていた。
「へぇー?」
「あ、良い良いその先は分かってるから略して」
「・・・さすが!」
「まあね」
は何処か面白く無さそうな、何処か楽しそうな顔をした。
僕も今そんな顔をしているのだろうとふと思った。が分からない。
「鏡・・・」
「え、何?リーマス君ナルシスト疑惑!?」
「ああ良いやそんな確認で体力浪費したくないし・・・」
「えっ、体調でも悪いのですか」
「いやー違うよザンネンながら」
「ああそうなのすごくざんねんだわ」
「あはは棒読み」
確認しなくても分かってる、と思っている。
今ここでこんな馬鹿やって楽しい、と感じている。
立ち上がってレポート用紙のところまで歩いて杖で黒い花に触れるとそれはすぐに散った。
散ったのではなく消えたのだった。僕の黒い花も。
そしてそのまま朝になってみんな降りてくるまで
時計が止まっている事には全く気付かなかった。
それもといるからで彼女はまた
何処か面白く無さそうな、何処か楽しそうな顔をして笑った。
030619(相変わらずわけわからんです。会話省略して欲しかったのです)