麗しき杞憂 How can I repair this RADIO???
猫のような目で男は笑った。
「ていうかさぁ、何なのコレは如何するわけよええちょっと」
「いやぁあっはっは」
「笑うな」
「何でそんなにカリカリしてるのさ」
「だーもう嫌だもう・・!」
「そんなに悩むとハゲるしさ」
「放っといてくださいむしろ喋るな」
「酷い・・!」
「じゃあこれを何とかしていやもう触るな」
2人の目の前に置かれているのは茶色く煤けたラジオだった。
精緻な装飾が施されているかなりの年代物で、首にかけるための革紐が取り付けられていた。
その革紐は半分ほどのところで色を変え、半分は極彩色の紐で構成されていた。
黒い髪を後ろで束ねた女が深く溜息を吐いた。眼鏡をかけた黒髪の男はいっそう笑みを深くする。
「まあ任せて任せて」
「だから!触らないでよ!」
「やってみないと分からないじゃないか!」
かなり残念そうに両手を広げる男に向かって、女は顔をしかめた。
「ジェームズ、だからさっきやらせてみたんじゃない」
「紐は直ったじゃないか」
「ものすごい色でね」
「でもまあ、ちぎれてないし」
「それはそうだとしても、何で音が出なくなるわけよ」
「さあねえ・・」
「あたしは、ジェームズが触った途端にぷつんて言ったの聞こえたんだから」
「で、でもだからと言って」
「あんたから毒電波が出てるに決まってる!」
「はぁ?」
「な、何その顔・・」
「、頭でも打った?」
と呼ばれた女は顔を引き攣らせてジェームズを睨みつけた。
ジェームズはそれを見て、いっそう笑みを深くする。
「あんたにだけは言われたくないなぁ・・」
「褒めてるの?」
「ぜんぜん」
「あっそう」
「何であんたが主席なのか分からない」
「あっはっは」
「はぁ・・」
沈黙するラジオを手にとって、はそれを放って受け止める動作を繰り返した。
ジェームズはそれを見て、いっそう笑みを深くする。
5度目にがラジオを宙に放った時、ジェームズは腕を伸ばしてそれを捕まえた。
「あ!」
が悔しそうな視線でそれを追う。
ジェームズはの方を見ずに、にやりと笑った。
手元でひたすらラジオをひっくり返し、突起の一つ一つを押さえてみたが、それは相変わらず沈黙したまま。
ジェームズは退屈そうな顔でラジオをに返した。
「壊れてるんじゃない?」
「ジェームズが壊したんじゃん」
「元から、とか・・」
「さっきまで音、出てましたから」
「どうしようねえ」
「そうだよもう借り物なのに・・」
「しかも無断」
「でもさぁ、紐ちぎったのジェームズでしょ」
「うん」
「色変えたのもジェームズでしょ」
「・・うん」
「音出なくしたのもジェームズでしょ」
「・・・・・うん、まあ」
「あたしが謝る必要は無いよね」
「・・親友だろ?」
「うん」
「だったら」
「いや、まあ、ねえ」
「お茶を濁したな貴様!」
「高等な言い回しを知ってるんだねえジェームズ」
「ああ自分が悪くないと悟った途端に余裕ぶっこくし」
「そりゃそうでしょ」
「あーあ・・」
とても残念そうな顔でジェームズはを見詰めた。がその視線を受けて首を傾げる。
「、いつ気づいたの?」
「何に?」
「自分に非が無いって事に」
「さっきジェームズがラジオいじってた時」
「あー・・失敗」
「は?」
「悩みまくってるのがすごく面白かったんだけどなぁ」
ジェームズはため息を吐き、職人の考慮か目立たない位置にあるラジオの電源を入れた。
「でも君もまあ、かなりな阿呆だ」
「・・・!!」
軽快な音楽が流れ出す。
040322(ラジオはシリウスぼっちゃんのです。これまたどうでもいい)