かご駕籠過誤加護篭カゴbasket










籠一杯に入ったものを彼女は誇らしげに掲げた。



「リーマスちょっとこれ見て!」
「見てる」
「いちいちムカつくっつの」
「ありがとう」
「褒めてないっつの」
「えー?」
「良いのかなそんな態度で?」



にやりと笑う。そんな仕草を、僕は見慣れていた。


「どこからその自信が来るの?」
「だから、見て」
「見てる」
「いや中身を」
「じゃあ蓋開けて」
「あ、そっか・・・」



ごめんごめん、と言いながら彼女は蓋に手をかける。
それは籐で編まれたとても標準的な、いわゆる籠だった。
特徴といえば端に鈍い色の蝶つがいで蓋が取り付けられていることだけだ。

彼女は蓋に手をかけた。思わず手を伸ばしてそれを制する。


「ん?見たくない、と?」
「いや」
「怖気づいたのかリーマス・・大丈夫だよ蜘蛛とか入ってないから」
「何で蜘蛛?」
「あたしが嫌なんで・・」
「良いこと聞いたな」
「ううわ!」



けらけらと笑っているに少し肩を竦め、僕は籠の蓋を開けた。
中には毒々しい薄緑色の草がたくさん入っていた。
ちょっと、かなり、どうでも良いものだと感じた。


「何?え、これが何の切り札だと」
「切り札・・良いねそれ!」
「どうもね」
「うんこれはあれだ、薬草だ」
「薬草?」
「うん」
「薬草って、薬草学の」
「そりゃあそうだろうねぇ」
「何なんだその返答」
「いや微妙に分からん」



とにかく!とは言い、草を僕に突き出した。
濁った、甘い草の香りがした。


「とにかく、臭くないじゃない?」
「・・・うん?」
「あ、臭い?」
「ううんそうじゃないけど、何で?」
「・・・ああ」
「え、これ何?普通に分かんない」
「やだなぁ、頭悪・・」
「何でそうなる」
「冗談冗談」


はにこりと笑った。この顔も見慣れていた。
毒々しい薄緑色の草と彼女の清潔な笑顔は、綺麗なコントラストを描いていた。



「この間、怪我してた時ね」
「うーん多すぎて何時なのか・・」
「馬鹿っぽいなぁリーマスのくせに」
「はいはい」
「あはは、んで、まあこないだ」
も覚えてないじゃん」
「厳密に言うと、先週の火曜」
「あ、意外」
「あたしはリーマスに関することは大抵覚えてるよ」
「ふうん・・」


嬉しい、と素直に顔に出せずに僕は唸った。いつからこんな風になったのか。
は気にした様子も無く話を続ける。それも少し不満で、心地よかった。



「それで、リーマスが薬が臭いといったんだよ」
「ああ言ったかも」
「だからまぁ、探してきた」
「え・・・薬、草?」
「そうそう。物分りが良くて嬉しいよ」
「それはどうも」
「あはは可愛くないなぁ」
「・・・でも何でわざわざ」
「だって臭いって」
「マダムに、頼まれたりした?」
「ううん」
「わざわざ調べたの?」
「んー・・それは、実はちょっとマダムに聞いちゃった」
「でも何で」
「山あり谷あり崖ありだったよ」
「そんな苦労して・・何で、別に」
「そういえば」


ふとは籠に目を向けた。
籐で雑に編まれた籠は、所々鋭くささくれ立っていた。


「何でさっき蓋、開けさせなかったのか」
「それは・・」



それは、簡単なことだ。ささくれ立っている籐の棘で、君が怪我をしないように、だ。


「リーマス、」



にやりと笑う。見慣れた仕草に、僕は目を少し細めた。



「あたしたち、友達じゃない」



毒々しい薄緑色が、何時までも瞼の裏に残る。
























040113(結局友達で終わってもあれなんですけど趣味っつか好みで)(わー・・)