人の夢
















夢を見ていた。真っ白で、真っ黒だった。
夢だから、そんなものだ。納得もいかなくて説明もつかない。そして触れることが出来ない




しかし目を閉じてみる夢も、開けてみる夢も、それは同じ事だと思うのだ。






夢を見ていた。その夢には色がついていた。と言う少女がいた。
色がついていたせいで僕はうっかり現実だと思ってしまった。


そうしての後を追いかけて追いかけて追いかけて、崖の下に落ちた。






「わお・・変な夢・・」
「ねえ」
「崖の下に落ちると言う、あんたの破滅的な考えが悲しいよリーマス」
のせいだよ」
「あたしの?」
は浮いてたんだ」
「うわ・・あたし何者」
「夢だし」
「あんたのね」
「僕のせい?」



そんなことは言わないよ、とは少し口の端を持ち上げた。
つまり、にやりと笑ったのだ。


そのまま彼女は手に持った袋菓子を口に放り込んだ。




「キミも食べる?」
「うん」




袋を僕に手渡す。その動きを空中で止め、は視線を泳がせた。
豪華なシャンデリアが天井から下がっていて、今にも落ちてきそうだ。


視線を戻して、は僕に袋を渡した。

それを広げて中身を口に放り込む。よくわからない塩味がした。





夢の続きを見ているのかと思って、僕はをじっと見つめた。
しかし彼女は動かなかったし、走らなかったし、逃げなかった。


空中に浮き上がる事も、もちろん無かった。





「箒ではなく?」
「はい?」
「あたし、箒使っては無かったの?」
「だったらそう言うよ」
「ああ、そうか・・・」
「普通だよ、それじゃ」
「そうかな」
「違うの」
「分かりません」
「あっそう」
「聞く気はあるのかい」
「言う気はあるの」
「駄目だキミ強すぎ・・」
「あはは」



は少し首を傾げて唸り、手を伸ばした。
僕は少し身を引いたが、彼女はお菓子の袋に手を突っ込んだだけだった。



ぱり。





「やばい割れた」
「食べれば変わりない」




不満げに肩を竦め、彼女は口にそれらを放り込んだ。


静かな咀嚼の音だけが、響く。






「リーマス、つまりは夢のようだ」
「何が」


唐突に口を開き、唇の周りを赤い下で舐め、は言った。



「今のこの状況が」
「夢、ねえ」
「美味しいよねコレ」
「塩味だよ」


は横目で僕を睨む。



「塩味って」
「塩味でしょ」
「・・・」
「違うの?」
「海老味は、しないの?」
「するのかなぁ」



実のところもう思い出せない。


夢の内容も、思い出せない。






「僕は、夢ならあるよ」




それは手を伸ばすと恐らく泡のように弾けてしまうだろう。



「へえ、どんな?」


は袋の口をこちらに向けながら尋ねた。



「幸せに暮らす事」


僕はその袋の中身を掴み出しながら答えた。





愉快そうに笑い、は机に座ったまま椅子を蹴飛ばした。
それは弧を描いて彼女から逃げ、また戻って来た。



「良い夢ね」




それには君が不可欠なんだけど、恐らく水のように流れてしまうだろう。






僕はそれらを口に放り込んだ。


は何度目かの咀嚼を終わらせ、

「箒に乗るなんて、異常極まりない」


と呟いた。






やはりこれは、塩味だ。





























031231(えびせん。気分はえびせん)